悩んでたってしょうがない!やってみないと分からない!「喫茶さとう」店主・佐藤佳織さんインタビュー
2024年5月17日
01 駅構内になる小さな喫茶店
新京成線滝不動駅構内、改札を出た左手にすぐ見えてくる喫茶さとうは敷地が4.5坪ほどの小さな店内。 駅構内ということもあり人通りも多いが、窓には目隠しシートが適度に張られており、 外から店内の様子が見えづらいように配慮されている。
滝不動駅の改札口を出る度に気になっていたのですが、この敷地に一体何があるのか分からずに通り過ぎ てしまっていたんです。2、3年前にネットで「喫茶さとう」が取り上げられている記事を呼んで、こちらが 喫茶店なのだと知り、興味が湧いたんです。ですが、なかなかタイミングが合わずに来ることが出来ませんでした。
「馴染みのないお店のスケジュールって分かりづらかったりしますもんね。ここも朝はやっている日もあれば、 やっていない日もあるし」
店内に入ると入口のドアには営業時間や開催されているイベントの案内チラシが張られている。 お店の情報はインスタでも確認出来る。
最近、カフェは増えましたけど、喫茶店ってあまり見かけなくなったので喫茶店好きの私はどんなお店なのだろうと楽しみにしていました。 お1人でやられているのは大変ではありませんか?
「大変なこともありますけど、やって良かったです。1人なのでストレスもないし……」
今までで一番大変だったことってどのようなことですか?
「2024年の5月でオープンしてから5年目になるんですけど、オープンから3、4ヶ月経って少しずつ定着してきた頃に新型コロナウィルスの流行がきてしまったんです。 客足もパッタリになってしまいました」
それは大変な危機ですね。
「コロナの影響で店内で食べることが出来なくなってしまった。おうちでやれることも話題になってましたよね。 メニューを考えるのが大変でしたが、持ち帰りが出来るようなメニューにするのはどうだろうと思って“朝サンド”というメニューを作りました」
危機を乗り越える為にはアイデアも必要になりますね。
「サンドイッチもコロナになってからは毎日違うものを提供していました。でも、食べてみて美味しいってならなくて…… 今思うと中途半端なものを提供してしまっていたなと思います」
前回、訪問させていただいた時に食べたハムサンド、とても美味しかったですよ! いつもハムサンドに使用しているパンが足りなくてイギリスパンで作って下さったんですよね。臨機応変に対応されていて凄いなって思いました。
「色々なことがありますからね。その時その時で。だって1人だから自分で何とかしないといけないし。 誰を頼れる訳でもないですし。でも結構何とかなります」
前回お邪魔した時に頼んだハムサンド。ハムサンド用のパンを切らしていたが、別のパンで代用してくれた。 ハムとチーズがたっぷりでデザートも付いている。(コーヒーは含まれません)
02 やってみる
「メニューも作ってみて、美味しいけれど、これで良いのかと考えてメニュー化しないものもあります。 頭の中で考えているだけじゃ分からないことってありますよね」
実際にやってみないと分からないですよね。お店を構えた時は如何でしたか? 実際にお店を持つということを実行するって結構勇気がいると思うのですが。
「うーん…… 軽い気持ちで始めたので…… 小さい頃から悩んでもしょうがないという感じです。心配していくら準備をした所で不安は消えませんからね。 だったら思いっきりやってみた方が良いかなという感じです。後悔することになるかもしれないけど、やらないで後悔するよりはやって後悔する方が良いかな」
やってみないと考えが前に進まなかったりしますものね。不安なことを実行に移して、それが問題になったら明確になることもありますしね。
「頭の中じゃ分からない」
そんな思いっきりの良い佐藤さんが今までの中で一番思い切ったなと思ったことって何ですか?
「旅好きなんですが、地球一周旅行をしたことですかね。横浜から出発して、インド、地中海、アメリカと赤道付近を3ヶ月かけて一周する船旅。街中にあるチラシを見て応募したんです」
随分と思いきりましたね! 一番気に入った場所はどこでしたか?
「ヨルダンのペトラ遺跡。映画のインディージョーンズにも出てくる場所」
旅好きということでしたが、他にご趣味はありますか?
「昔は手芸とかやってたけど、今はこのお店が趣味です」
全て一人で考えてやらないといけないって大変でしょうね。
「狭いお店だし、レイアウトを考えるのも大変で色々変えました。やっと今の形で落ち着いたかなと思います」
03 コロナに負けないバイタリティ
店内に入ってみるとそこまで狭く感じないのは佐藤さんのレイアウトの賜ではないでしょうか? お一人様でもお食事しやすいのはお客様同士の目線が合わないからかもしれません。 駅構内ですけど、外を歩いている方も気にならないです。
「コロナでレイアウトも変えたんですよ。今、テーブル席がある所に以前は三人掛けのカウンターがあったんです。でもコロナのせいで接近出来なくなったでしょ?」
入ってすぐの所にある棚には商品が可愛らしく陳列されている。決して広い店内ではないが、お客様同士の距離感を感じないように工夫されている。
若かりし頃に食堂でバイトをしていた時に世の中で突如として狂牛病が問題になったことがあったんですが、牛肉に限らず、豚肉も鶏肉も肉料理はほとんど売れなくなってしまいました。
「大変でしたね」
店長はすぐにラーメンに力を入れましたね。定食屋だったのに、今ではラーメン店みたいな店構えです。通る度に迅速な判断と実行力で生き残ったお店なんだなと感無量な思いが沸き起こります。 毎日、ラーメンの出汁をどこのメーカーを使おうかって店長は探し回ってましたもの。臨機応変に対応することも必要とされますね。
「開店時からバタバタで大変なこともありますけど、付近にあまり飲食店がないので食べにきて下さる方もいて。最初は軽食で考えていたので食事して下さる方がいらっしゃることに驚きました。 新たな発見ですね。オススメはガパオライスなんです」
お客様の反応がひとつひとつヒントになるんですね! 言われてみれば…… ガパオライスを飲食店で食べたことってないかも……
「珍しいでしょ? こんな所でご飯食べてくれるんだと思ったら、もっとメニューを増やしたいなと思うようになっていきました」
ボリューム満点のガパオライスが850円で食べられる。お肉もたっぷり、野菜もたっぷりで幸せな気分になれる。デザート付きがこれまた嬉しい! (コーヒーは含まれません)
04 その時々に感じたことや巡り合わせの波にのる
オープン当初はホットサンドイッチとデザートが3種づつからのスタートだったんですよね?
「そうなんです。喫茶さとうがお客さんにとってのちょっとした休憩所のような所になればいいなと思っていたし、料理が得意な訳でもないので簡単に出せるものの方が良いと思いました」
お店を出したきっかけは?
「友人と話していた時に「好きなコーヒー牛乳を販売して食べていけたら良いな」と思ったのがきっかけです。でも、本気でコーヒー牛乳の販売だけで食べていけると思った訳ではなくて、 友達との他愛もない会話の中でふっと思っただけで。普通に考えれば、それ相当にこだわっていて、特別に美味しいコーヒー牛乳ではない限り、コーヒー牛乳だけで食べていくって難しいと思いますし。 そこで“コーヒ牛乳だけでは難しそうなら、他の食べ物も販売した方が良いかな…… だったら喫茶店かな”と思って。思い切りは良いんですよ。なので飲食店で修行もしたことがないですし、経営の勉強もしたことがないんです」
何もかも手探り状態からのスタートだったんですね。
「お店を持ちたいなと思うようになった頃、ちょうどここのスペースが開くということを知って、場所も駅内だし良いかなと思って借りることにしたんです。狭いけど、1人でやりくりしているし、これくらいの広さが私にとっては丁度良いかな」
生きているとやりたいことが沢山出てくるが、不安も過ってくるものだ。佐藤さんとお話していると初心の好奇心に忠実に一歩踏み出して 「自分が出来る範囲内からやってみても良いんじゃない?」と思う。
インタビューをお願いした時、「何も話せることなんてありませんよ」とお答えになっていた佐藤さんが印象的でした。
本当にね…… 深い何かがある人間じゃないです。
そんなことないですよ! 熟考されるのが自分に合っている方もいらっしゃるし、やってみる方が自分に合っている方もいらっしゃるし。 佐藤さんは後者ですね!
入口に飾ってある水彩画は絵の上手なお知り合いからのプレゼント。限られたスペースを有効利用して、 どのようにすればお客様に喜んでいただけるのかと知恵を絞りながら楽しんでいる佐藤さんが垣間見られる。
05 店舗案内